行く夏を惜しんで
台風の余波で、お盆の前半にかけては断続して強い雨が降り、ところによっては水害などにも見舞われる不安定な天候になった。盆踊りを予定していた町々も多く、地域のためにと汗を流す主催者たちは、天気予報とにらめっこしながら対応に奔走した。当日になって中止したところも何か所かあって、13日から盆休み中の当社にも問い合わせの電話をくださった読者がいたようだ。
「…ようだ」というのは、会社の電話を散歩人の携帯電話に転送していたにもかかわらず、帰郷した秋田の山の中の田舎は携帯が通じないのだった。それを都会ぼけの散歩人はすっかり忘れて、温暖化の影響なのか数年前から鳴く種類が変わったという蝉の鳴き声と、昔と変わらぬウグイスとホトトギスの歌と、山の野花と、豊作の予感をさせて盛りと咲く稲の花に惚(ほう)けていた。…という事情がありまして、お電話をくださいました読者の方々、本当にごめんなさい。
…で、盆休みが明けて17日朝、残暑は厳しいのだが、日脚が斜めになって影が長いのに驚いた。空にはうろこ雲が広がっている。いつの間にかエゾゼミの声がぱったり止んで、キリギリスの鳴く声があたりをおおっている。夜になっては種々のコオロギが盛んに鳴く。その声を乗せて吹く夜風は涼やかで、もうすっかり秋の気配…。
寒くなりそうな冬の予感に恐れを抱きながら、行く夏を惜しんでいる。
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