2009年06月05日号

怖い歯周病…糖尿病ほか全身疾患に!!


虫歯にしろ歯周病にしろ、一定期間を除き、激しい痛みがなくなるため、口の中の病気は、意外に軽視されている。しかし、病状はどんどん進んでいる場合が多い。歯のない不自由さ、つらさは無くなってはじめて身にしみる。特に歯医者さんで要注意とされているのが歯周病。歯を失うだけではなく、深刻な全身疾患につながる恐ろしさが明らかになってきたためだ。容姿にも健康にも実はことのほか深く関連してくる歯の健康。だからこそ、「半年に1度の定期検診」が大切になる……6月4日から「歯の衛生週間」が始まる。


   歯周病は虫歯より怖い…歯を失ってしまう原因で、もっとも多いのが歯槽膿漏(しそうのうろう)や歯肉炎などの「歯周病」で、原因の半分を占めるという。「本人に自覚がなくても9割以上の患者さんが、実は歯周病にもかかっている」(厚別区の歯科医)というほど多く、ほとんどの人が歯周病に冒されていると考えた方がいいのだそうだ。思春期以降に増加し、健康に与える影響の大きさから生活習慣病の1つとされてもいる歯周病…。では、何が怖いのか?


   歯周病によって歯が抜け、しっかり噛(か)めなくなって食生活はもちろん、日常の意欲・活動低下などにつながることがまず大きい。これは高齢化社会が進む中でますます深刻になっている。歯が抜け満足に噛めなくなると、ひと言で言えば老化が加速度的に早まる。


   1つは十分に咀嚼(そしゃく)できなくなるから、食生活に満足感が薄れてしまい、硬いものを避けるようになるなどで食が偏(かたよ)ってしまう。それが栄養の偏りに直結する。例えば、女性の場合、カルシウムなどの補給が続かず、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などが進行してしまうのだという。逆に骨粗鬆症の患者が骨が弱くなって歯周病が悪化しやすいという症状もあり、こうなると悪循環に陥る。


   歯を失った後の日常生活の不便さ、話したり食べることが制限される憂鬱(ゆううつ)さ、生活全体の質の低下の深刻さは、これは歯がなくなってからでないとわからない苦しさがある。


   そして、他の病気との関連性。実は歯周病菌という細菌が原因となる歯周病が進行すると、歯が抜けたりするだけでなく、歯周病菌が血液に乗って全身に回り、さまざまな病気を引き起こすことが、最近の研究ではっきり裏付けられている。


   「歯周病」という病気とは


   虫歯も歯周病も、その一歩は歯の間や歯ぐきの境目などに付着する白いカス「歯垢(しこう)」から始まる。食べカスというよりは、生きた細菌の群隊がこれで「プラーク」とも呼ばれる。歯みがきなどでよく取り除かないと、このプラークは食物中の糖分を栄養にして増殖し、1日かそこらで石灰化して「歯石」となる。歯石化すると自分では取り除けない。プラークの細菌は酸を作り、歯の表面をとかし始める。これが虫歯の始まり。一方で、歯ぐきの中に入り込んで炎症を引き起こす歯周病菌に冒されるのが歯周病だ。


   歯ぐきの内部では、歯の回りに歯槽骨という骨がある。歯と骨は歯根膜線維でしっかりつなぎ止められている。ところが炎症が進むとこの歯根膜線維が破壊され、そして骨もとけてしまうような状態で破壊されて行く。歯がぐらつき始め、やがて歯を支える歯肉も骨もなくなって抜け落ちてしまう。歯自体が健康でも、抜けたり、使いものにならなくなってしまうのだ。


   さらに、歯周病菌は血管に入り、全身に回る。その結果、動脈硬化と脳卒中やさまざまな心臓病、敗血症、低体重出産や早産、高齢者の誤嚥性(ごえんせい)肺炎などを引き起こし、最近の研究では糖尿病を悪化させることもわかってきた。


   糖尿病との関係は、糖尿病によって歯周病が悪化したり治りにくくなると思われてきたが、歯周病菌毒素がインスリンの機能を阻害して、糖尿病を悪化させることもわかってきた。実際、歯周病が治ったら、糖尿病も改善したという例も少なくないのだという。


   「半年に一度の定期検診」が呼びかけられるのは、歯周病の原因となり、自分では取り除けない歯石の除去や、手遅れにならない前の発見・治療が重要なため。


   歯みがきをこまめにし、例えばデンタルフロスを使用している人でも、歯石までは取れない。決して安心できないのが歯周病だ。


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